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歯の矯正が長期化しやすい短顔型タイプ

矯正治療のハードル

矯正治療のハードル

歯科矯正の治療期間は、簡単な症例の場合でも半年から1年くらいかかります。それ以上の難症例になれば、さらに治療期間が長くなることから、歯を矯正するにはそれなりの長い期間が必要であるということを理解した上で治療に臨まなくてはいけません。矯正する方法によって期間が多少変わることもありますが、もっとも治療期間が短くできるのはワイヤー矯正と言われています。

現在のところワイヤー矯正よりも治療期間を短くできる方法はありませんが、1年以上は確実に装置をつけていなくてはいけません。目立つ装置が忌避されつつある現代では、目立たない装置を選ぶ人が多くなってきていますが、実は目立たない装置ほど治療期間は長くなってしまいます。症例だけでなく装置の都合によっても治療期間が変わってくる歯の矯正ですが、そのほかにも治療期間に影響する要素があることをみなさんはご存知でしょうか?今回は、治療期間に影響してくる顔のタイプについてお話ししていきます。

抜歯の有無とスペース確保の方法

人の顔の形は大きく分類すると3つのタイプに分けられます。図形に例えると、四角い形の傾向をした短顔型、円い形の傾向をした中顔型、逆三角形の傾向をした長顔型があります。これらのタイプに分かれるのは食べている物や噛む力に理由があります。現在もっとも多いとされているのは中顔型の人と言われており、そして少しずつ増えてきているのが逆三角形の長顔型の人と言われています。

顔の筋肉と顎の骨

わたしたちは食べ物を咀嚼する際に、おもに顔の左右の側面についている側頭筋と咬筋という2つの筋肉を使って顎を動かしています。この時、噛む強さはこの筋肉の状態によって変わってきます。また噛む力は顎骨の形にも影響しており、基本的に噛む力が強い人は顎骨が縦に短い傾向があり、噛む力が弱い人は顎骨が縦に長い傾向があると言われています。

矯正のメカニズム

矯正のメカニズム

歯はなぜ矯正することができるのか。その理由は歯を支えている歯槽骨に起きる変化、骨代謝にあります。骨は常に古くなった部分が破壊されて体の外に排出され、内側から新しい骨が作られるというサイクルを繰り返しています。この特徴を利用し、歯を動かしたい方向へ引っ張ると動く方向にある骨が歯に押されることで溶けていき、歯があったところには新しく骨が作られます。こうして歯の位置を動かしているのです。

短顔型の場合

短顔型は顎骨が特徴的に広く発達していることから四角い形に例えられます。このタイプは噛む力が強い人に多く見られます。硬い食べ物が多かったと言われる昔の時代はこの短顔型の人がほとんどだったと言われています。硬い物を食べるためには強靭な筋肉の力が必要であり、また強く噛むためにはそのパワーに耐えられるだけの強固な顎骨でなくてはいけません。そのため、短顔型の顎骨は見た目が広く発達しているだけでなく、顎骨の骨密度がとても高い傾向にあります。さらに噛む力も強いことから、矯正を行うと歯が移動しにくく治療が長期化しやすいと言われています。

中顔型と長顔型の場合

中顔型は短顔型よりも顎骨が少しスマートになり、顔が少し面長に見えることから円い形に例えられます。中顔型になる理由は、短顔型の人よりも硬い物を食べる量が少なく、その代わりに軟らかい物を食べることにより顔の筋肉を使う頻度が短顔型よりも少ないことにあります。調理の技術が進み、硬い物だけでなく軟らかい物も食べられるようになってきた現代では、もっとも多いのがこのタイプの人と言われています。長顔型は中顔型よりもさらに顎骨が細くなり、頭から顎にかけて細くなっているように見えることから逆三角形に例えられます。長顔型になる理由は、軟らかい物を多く食していたことで顔の筋肉が発達せず、体格の成長とともに顎骨が発達しなかったことにあります。また短顔型と比較すると骨密度が標準的、もしくは低い傾向にあるのが中顔型と長顔型であり、歯の移動にあまり時間がかからないため矯正期間が長期化しないタイプと言われています。

矯正と骨密度、噛む力の関係

歯を移動させるには、前述のとおり動きたい方向にある骨が溶けなくてはいけません。しかし、骨密度が高い人は骨が溶けにくい傾向であるため、歯の移動にとても時間がかかります。さらに噛む力が強い場合、横に動こうとしている歯を縦の方向から強い力で押さえつけていることにもなります。そのため噛む力が強く、骨密度が高い2つの特徴がある短顔型の人は矯正が長期化しやすいと考えられています。しかし、裏を返すと骨が変化しにくいことから一度動いた歯が元に戻りづらいというメリットがあり、治療のあとの固定を長く行わずに済むということになります。

顔のタイプで判断できる顎の強さと矯正のしやすさ

顔の形からその人の噛む力と顎骨の状態が判断できることから、これを知っていれば自分が矯正に時間がかかるかどうかを判断する基準にすることができます。またこれを知っていれば、相手の顔の形を見ることで嗜好が硬い物なのか軟らかい物なのかを知ることもできます。ぜひ参考にしてみてください。

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