1. 叢生
  2. 上顎前突
  3. 下顎前突
  4. 過蓋咬合
  5. 開咬
  6. 交差咬合
  7. 空隙歯列
  8. 正常咬合
  9. 親知らずの抜歯
  10. 顎関節症

上顎前突
(じょうがくぜんとつ)

上顎前突(じょうがくぜんとつ)とは?

上顎前突の症例

上顎前突とは、俗に“でっ歯”といわれるように、上の前歯や上あご(上顎骨)が、著しく前方に突出している状態をいいます。
これは、歯の位置や傾きの異常によって起こっているもの、上顎骨または下顎骨の位置異常や大きさの不調和によって起こっているものなどが考えられます。
成長期に上顎前突が認められる場合、正常な顎骨の成長が起こらず、いま以上にその状態が悪くなる可能性があります。

原因は?

  1. ご両親から受け継いだ小さなあごの骨
  2. ご両親から受け継いだ大きな歯
  3. 不十分なあごの骨の成長(下あごの成長不良、上あごの過剰な成長)
  4. 悪い癖によるもの(指しゃぶり、舌癖、口呼吸)
  5. 鼻の病気によるもの
  6. 指や舌をかむ、などの悪い癖

放っておくとどうなるの?

  1. 咀嚼障害(咀嚼能率の低下、咬合力の低下)
  2. 嚥下、発音がしにくい
  3. お顔の印象が悪い(口元の出っ張りなど)
  4. 上下のあごの骨の成長障害(成長不良、過剰な成長)
  5. 口が閉じにくい。いつも口が開いている。また笑うと前歯や歯ぐきが、よく見える
  6. 前歯に外傷を受けやすい
  7. 顎関節症の原因になることもある(下あごの運動障害、痛み、音)
  8. 全身への影響(胃腸障害、肩こりなど)
  9. 口腔内の清掃不良・虫歯になりやすい・歯肉炎、歯周炎になりやすい・口臭の原因

上顎前突の場合の矯正治療

5歳以下の場合、全ての歯が乳歯の場合(永久歯が一本も生えていない状態:乳歯列期)

5歳以下の場合

乳歯列の場合の“出っ歯”は、通常、経過を観察する場合が多いです。

半年に1回定期検診にお越しいただき、歯並びの状態がどのように変化してきているのか、その他に問題が引き起きていないか、などをチェック致します。

ただし、出っ歯になっている原因が、何なのかをきちんと調べておく必要があるかと思います。
この年代の出っ歯は、悪い癖などによって歯並びが悪くなっている場合が多いようです。

◆ 治療法
この場合、歯並び自体の治療は行いませんが、悪い癖をなるべく止めれる方向に誘導致します。この悪習癖を除去することによって、2次的な不正の防止や出っ歯が改善することがあります。

6歳から10歳の場合

6歳から10歳の場合

通常、永久歯が、数本生えてきています。この段階で、すでに前歯が出っ張って生えてしまうことがあります。
これには、
・前歯の歯の生え方が悪くて出っ歯になってしまった方
・あごの発育がバランスよく成長せず、あごの骨ごと出っ歯になってしまっている方
・悪い癖(下唇をかむくせ、指しゃぶり、口呼吸など)によって、出っ歯になってしまった方
などがあります。

矯正歯科治療開始の時期

出っ歯の矯正治療は、すべての永久歯が生え揃ってから、開始すればよい?

答えは、NOです。
もちろん個人差はありますが、すべての永久歯が生え揃ってからでは、遅い場合があります。悪くなった歯並びを治療するのではなく、悪くなる前に治療をすることをお勧めいたします。特に、あごの発育が悪い方の場合、成長期を利用して、あごの発育が良好になるよう誘導することが出来ます。

通常、歯科矯正治療の開始や管理下に入るにふさわしい時期です。このような状態になってしまった場合、きちんと現状の状態を矯正歯科を専門に行う歯科医師に確認してもらう必要があります。通常この時期より矯正歯科医の管理を受けていただくと、将来的にも悪いかみ合わせになりにくいと思います。

またこの時期より矯正歯科治療を開始すると、永久歯の抜歯を回避しやすい時期でもあります。抜歯は、“絶対いや”と言うご両親は、この時期までに、ぜひ矯正歯科を専門に行う歯科医師にご相談されることをお勧めいたします。

アメリカ矯正歯科学会、日本矯正歯科学会では、7才までに矯正歯科を専門に行う歯科医師による歯列矯正の診断を受けていただくことを推奨しています。

7才までに矯正歯科を専門に行う歯科医師の歯列矯正の診断を受けていただくことを推奨しています。

◆ 治療法
あなたのお口の上顎前突になった原因や程度にもよります。
・前歯の傾きを改善する方法
(通常、治療期間6ヶ月前後)
・あごの発育を誘導、改善する方法
通常、治療期間1~1.5年前後
・悪習癖が強い場合、癖をやめれるようにトレーニングをする方法
などがあります。
通院は、約4週間から6週間ごとになります。治療終了後は、定期検診を行い、あごの骨の成長具合、歯の生え方の状態などを、検診致します。

◆ 装置
この時期には、通常の全体的な矯正装置は必要ありません。もっと簡単な装置で、矯正歯科治療が可能です。
歯の裏側につける舌側矯正装置(STB)や、マウスピース型矯正装置(インビザライン)(在宅時のみ使用。外出中は必要ありません。)を使用する方がほとんどです。

11歳以上25歳未満の場合(永久歯列期)

11歳以上25歳未満の場合

全体的に歯並び・噛み合わせなどの矯正歯科治療する方法と、部分的に気になるところだけ歯列矯正治療する方法があります。
上顎前突の原因、程度のよって多少変化致しますが、治療する場合、全体的な矯正装置の中から装置をご選択ください。
◆ 治療法1
あごの成長が悪く、かつ全身成長が大きく残っている場合(身長が伸びている方)
あごの発育を良好にする為に、あごの骨の矯正を行います。成長の度合いはかなり個人差がありますので、成長期のどの時期にあるかは、手の平のレントゲンを取って確認します。そこで成長が残余していればあごを矯正します。

◆ 治療法2
あごの発育が悪いが、成長が残っていない場合(身長がほぼ伸び切ってしまっている方)
あごの発育を良好に誘導するということは出来ませんので、今の骨格のまま歯を移動して出っ歯を改善します。骨格性の不正が強い場合、歯を抜歯する確率が高くなります。

◆ 治療法3
歯の出っ歯が比較的小さい方(出っ歯の小さい方)
この場合、永久歯の抜歯は行わない場合が多いです。
治療期間も通常の方(2~3年)よりも比較的短期間に終了する場合が多いです。(約1~1.5年)

◆ 治療法4
歯の出っ歯が比較的大きい方(出っ歯の大きい方)
出っ張った前歯を後退させるスペースがあるか、すべての永久歯が、現在のあごに並びきるかどうかは、精密検査を行って判断します。現在のあごに、今生えている歯がすべて収めることが出来ず、あごの骨から歯が溢れかかっている状態の場合、永久歯の抜歯が必要になる場合もあります。
ただし、通常の矯正治療法に加え、付加的な装置(例:歯科矯正用アンカースクリュー)を併用することにより、歯の抜歯の回避や治療期間の延長を回避できる方もおります。通常、治療期間は、約2年前後。

おとなの場合(20歳後半以上・成人矯正)

おとなの場合

おとなの場合、基本的治療法や矯正歯科装置は12歳以上25歳未満の場合と同一ですが、次の点に注意してください。
矯正歯科治療は、基本的にはおいくつになってからでも開始することは可能です。ただし、歯周病などが罹患している状態でそのまま矯正歯科治療を開始してしまうと、歯周病が悪化してしまうことがあります。
逆に、歯周組織がよくコントロールされた状態で歯列矯正を行うと、歯槽骨(歯ぐきの下の骨)の状態や歯肉が良好になること、プラークコントロールがしやすく、また噛み合せが安定して、歯がもちやすくなることなどが報告されています。
成人矯正の場合、歯周病の問題をどのように対応するのかで、治療の効果は、全く逆のものになってしまいます。「自分は歯周病なんか大丈夫」と思っている方も多いと思いますが、歯周病は20代後半より程度の差はありますが、何方でも罹患をしているというデータも存在します。いわゆる国民病、生活習慣病です。
歯周病は全身疾患との関連性が強く、妊婦や糖尿病・心疾患への悪影響を及ぼします
また、歯周病は全身疾患との関連性が強く、妊婦への悪影響(未熟児など)、糖尿病や心疾患への悪影響など様々な悪影響を及ぼすことが最近わかってまいりました。
矯正歯科の治療を開始する前に、きちんと歯ぐきの専門家のチェックを行うことが必要です。
治療開始の時期:歯周初期治療終了後

上顎前突矯正のメリット・デメリット

メリット

  1. 歯を健康に保ちやすくなる
  2. 見た目が美しくなる
  3. 歯の着色が起こりにくくなる
  4. 口臭が改善する
  5. 発音が明瞭になる
  6. よく噛めるようになり、消化吸収が良くなる
  7. 顎関節の不調や頭痛、肩こりといった不定愁訴が改善する
  8. 健康でハツラツとした老後を送りやすくなる
  9. 前歯をぶつけて折るリスクが下がる

デメリット(リスク・副作用)

  1. 矯正時に抜歯が必要になることがある
  2. 治療中に痛みが出ることがある
  3. 治療期間がかかる
  4. 治療費が高額になる
  5. 食事が不便になることがある
  6. 治療中に虫歯や歯周病のリスクが高まる
  7. 歯茎が下がることがある
  8. 治療後に後戻り現象が起こることがある
  9. 重度の場合、外科矯正が必要になることがある

上顎前突の症例(いわゆる出っ歯の方)

上顎前突の症例

  1. 叢生
  2. 上顎前突
  3. 下顎前突
  4. 過蓋咬合
  5. 開咬
  6. 交差咬合
  7. 空隙歯列
  8. 正常咬合
  9. 親知らずの抜歯
  10. 顎関節症