こんなにある!「よく噛める」ことの効能とは
皆さんは食べるときによく噛むことを心がけて食べていますか?と、このようなことを突然聞かれても、普段はあまり噛む回数なんて意識して食べていないかもしれませんね。よく噛んで食べれば肥満防止になる、というような話が有名であるように、よく噛むということは体にとってとても大事なことなのです。ですが、最近の食べ物はあまり噛まなくても食べられるようなやわらかいものが多く、現代人は子供の頃からあまり「よく噛む」、ということをしなくなってきています。それも一因となり、歯並びや噛み合わせの悪い人が溢れかえっているのが現状です。悪い歯並びや噛み合わせになってしまうと、しっかり噛みたくても噛めない、ということになりかねません。今回はよく噛めるということの重要性についてご紹介していきます。
良い「歯並び」も大事ですが良い「噛み合わせ」も大事です
最近は、グローバル化に伴い、日本でも歯並びを気にして矯正治療をする人が増えてきました。当院を受診される患者さんの「矯正治療をしようと思ったきっかけと」して最も多いのは、やはり「歯並びを整えて見た目を改善したい」というものです。確かに歯並びの良さは顔の印象を大きく変えますので大事です。でも、それと同時に「良い噛み合わせ」であることも大変大事であると言えます。噛み合わせというものは、自分では見えないですし、自分でもその噛み合わせに慣れてしまっているので、多少噛み合わせが悪くても気になっていない人が多いものです。しかし、噛み合わせは「よく噛める」ために必要不可欠のものであり、体の健康とも深い関わり合いがあるため、良い噛み合わせに整えるということは、人生を左右すると言っても過言ではありません。
噛む、噛めることの8つ効能「卑弥呼の歯がいーぜ」
噛む、噛めることがいかに大事か、というのを表す標語を学校食事研究会が発表しました。それは「卑弥呼の歯がいーぜ」というもので、噛むことの8つの効能を表しています。どんな効能があるのか、ご紹介しましょう。
卑(ひ):肥満防止
よく噛んで食べることで、脳の満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぎ、肥満防止に役立ちます。
弥(み):味覚の発達
よく噛んで食べると、食べ物の味がよく感じ取れるようになります。
呼(こ):言葉の発音がよくなる
よく噛むことは、噛む筋肉である咀嚼筋や舌を発達させ、あごの発達をよくし、きれいな歯並びを作り出します。それにより、発音・滑舌がよくなります。
の:脳の発達
よく噛むことは、脳への血流を増やすことにつながり、脳に良い刺激を与えます。子供は脳の発達が良くなり、大人は認知症予防につながります。歯を失うとよく噛めなくなることにより、認知症リスクが高まることがわかっています。
歯:歯の病気を防ぐ
よく噛むことで、唾液腺が刺激されますので、唾液がよく出るようになります。唾液にはお口の中をきれいにする自浄作用、殺菌作用、酸を中和する中和作用、などがあり、虫歯や歯周病を予防してくれる効果があります。
が:ガン予防
唾液には様々な酵素が含まれていますが、その中でもペルオキシダーゼと呼ばれる酵素は、発がん物質の発ガン作用を消してくれる働きがあると言われています。
いー:胃腸の調子が良くなる
よく噛んで食べることにより、唾液中のアミラーゼをはじめとする消化酵素酵素がたくさん出て、消化を助けてくれます。
ぜ:全身の体力向上、全力投球
よく噛めることは、体力を高め、全身能力を高める働きもあります。特にスポーツをする人にとって、良い結果を出すためにはしっかり噛めることがとても大事です。
「噛ミング30(カミングサンマル)」運動
よく噛むことは体の健康に大変効果的であることから、厚生労働省の検討会が「噛ミング30(カミングサンマル)」運動というのを提唱しています。これは、1口食べるたびに30回噛んで食べましょう、というもので、皆さんも耳にしたことがあるかもしれません。1口で30回噛むというのは、慣れていないとなかなか容易にできるものではありませんが、食べ物を30秒以上唾液に浸すと、発がん物質の発ガン作用を打ち消す働きも期待できることから、最初は意識的になるべくたくさん噛むということを心がけてみるといいかもしれませんね。
また、現代食に多いやわらかいものばかり食べていては、毎回そんなに噛む必要もないため、早食い、丸飲みのような食べ方になりがちです。繊維質のものや噛みごたえのあるものを意識的に食事内容に取り込んで、「噛まなければ食べられない」というように持っていくと噛む習慣がつきやすくなるでしょう。
よく噛めるためにはよく噛める噛み合わせを持っていることが重要になってきます。矯正治療をして、しっかりとした噛み合わせにすることは、実は体の健康作りにとって素晴らしいメリットがあるのです。