矯正中止したらどうなるの?
矯正治療を始める際には、綺麗な歯並びを完成させようと固く決意していることでしょう。しかしながら、「海外へ留学したい」「引っ越すので別の歯科医院で治療を受けたい」「矯正治療自体を止めたい」など様々な理由により矯正治療を中止しなければならないこともあるかもしれません。
矯正治療を途中で中断した場合、支払った治療費、そして治療途中の歯にはどのような影響やリスクがあるのでしょうか。
支払いはどうなるの?
矯正治療は自由診療であることから治療費も高額です。治療費は通院ごとの分割払いから、治療開始前の一括払いまで様々です。途中で治療を止めてしまった場合、この治療費の支払いはどうなるのでしょうか。一括払いしてしまったものは返ってくるのでしょうか。
カウンセリング時の歯科医院との契約内容によりますが、法律的には行った治療分の費用のみを支払えばいいことになります。そのため、たとえ一括払いで支払っていた場合でも、これから行う予定の治療に対しては返金してもらえる可能性が高いでしょう。
保険診療の場合には、患者さまの都合で中止した場合には、支払いの義務がありますが、矯正治療は自由診療で行われますので、支払いの義務はないと言えます。器具を付け替える関係で余分に払うケースもあるかもしれませんが、基本的にはかかった治療分のみの費用を支払えば問題はありません。
しかしながら、カウンセリング時の契約書の内容にも左右されることもあります。なかにはクレジット会社が間に入り分割払いを行うケースもあります。歯科治療のためのローンを組んでいるようなイメージです。その場合、歯科医院だけでなくクレジット会社にも連絡、確認が必要になってくることもあります。
少しでも中断する可能性がある場合は歯科医院へ直接、通院ごとに都度払いが一番安心といえるでしょう。
中止した場合の歯並びへの影響は?
矯正を中止する理由は様々ですが、例えば、留学の場合はどうなるのでしょうか?この場合には、留学中は一時的に治療を止めて、帰国後に治療を再開することが考えられます。矯正装置を外してしまうと、その時点から歯の後戻りが起きます。そのため、歯を保定させるリテーナーを作り、その位置で歯を固定させる必要があるのです。
治療を中断している間は常にリテーナーを装着していることが大切です。外している時間が長くなってしまうとその間に歯が動いてしまい、装着が出来なくなるなどのリスクが生じます。特に留学中のケースでは、新たに海外でリテーナーを作るのも大変です。食事中は外しても構いませんが、食事後は必ずリテーナーを装着するようにしましょう。
また、出先では難しい場合もありますが、出来る限りお口の中を清潔にしてから装着することが望ましいものです。そうすることにより、歯周病や虫歯の予防にもつながります。
このように保定装置を利用すれば、中断期間があっても問題なく治療を進めることが出来ます。しかしながら、従来の治療より最終の仕上がりが悪くなるケースもありますので、注意が必要です。矯正治療を始める際には、予めライフプランをある程度想定したうえで矯正を行うことで、よりスムーズな治療が可能です。
矯正治療を中止して元に戻せる?
治療を進めていくうちに、考えていた歯並びにならないなど矯正治療自体を止めたいと思うこともあるかもしれません。よくあるトラブルとしては、歯科医師からの説明がなかったり、認識が共有できていたかったなど、抜歯することを聞いていなかったケースです。通常はカウンセリングを行い、治療を始めますが、コミュニケーションが取れておらず、治療計画を共有できていないとこのようなトラブルの原因になります。
1つの例として、捻じれている前歯を手前に戻す治療を行う場合のトラブルがあります。多くの場合、まず歯を広げ、歯の裏側から捻じれた歯を引っ張っていく手法が取られます。治療開始時のカウンセリングでは抜歯なしで矯正を行う予定でしたが、治療を進めていくうちに、前歯の前突が目立ってきたことで、抜歯を行わないと治療が難しくなってしまったケース。患者からは、抜歯が必要なら矯正治療は行わなかったので元に戻したいという要望が出てきます。
治療を進めていくうちにどれだけ前歯が出てくるかは、経験のある歯科医師でも予測は難しいものです。残念ではありますが、一度動かした歯を元に戻すのは、なかなか難しいのも事実です。このようなケースのトラブルを避けるには、歯科医師とカウンセリングを行う際に、治療計画の変更の可能性も含めて、しっかりと相談しておくことが大切です。
まとめ
矯正治療は高額な費用がかかるもので、治療を始めることは大きな決断となる人も多いかもしれません。治療を途中でやめることになった場合には、治療費の返却のために手続きが必要になります。治療開始前のカウンセリングで書面を交わすことも多いですが、その際に治療を中止した場合の、治療費の返却についても予め明確化しておきましょう。しっかりと確認することでトラブルやリスクを最小限に抑えた状態で矯正治療が進められるようになります。
治療の期間や計画通りに進まないケースなど、ネガティブな情報も歯科医師へ確認することが大切です。